第 6 章
通変星(十大主星)
日干から見た関係で決まる10の星。性格を読む中心になります。
この章を読み終えると
- 日干と相手の干から通変星を導ける
- 10星の名前の意味を漢字から説明できる
- 「偏」と「正」の違いを言える
いよいよ性格を読む部分に入ります。通変星(つうへんせい)は、日干から見た関係で決まる10種類の星です。「十大主星」とも呼びます。
10星は暗記しなくていい
第3章の最後で見たとおり、五行の関係は5通り、陰陽の一致は2通り。掛け合わせて10通りです。この表さえ理解すれば、その場で導けます。
| 日干から見た関係 | 陰陽が同じ | 陰陽が違う | グループ |
|---|---|---|---|
| 相手が自分と同じ五行 | 比肩 | 劫財 | 自分をあらわす |
| 自分が相手を生む(自分が親) | 食神 | 傷官 | 出していく力 |
| 自分が相手を剋す | 偏財 | 正財 | 手に入れる力 |
| 相手が自分を剋す | 偏官 | 正官 | 自分を律する力 |
| 相手が自分を生む(自分が子) | 偏印 | 印綬 | 受け取る力 |
縦の並びに注目してください。左の列(陰陽が同じ)は比肩・食神・偏財・偏官・偏印、右の列(陰陽が違う)は劫財・傷官・正財・正官・印綬。「偏」がつくものが左側にまとまっているのが分かります。
偏=動く・流れる、正=決まって入ってくるという違いです。偏財は人脈で回っていく財、正財は毎月決まって積み上がる財。どちらが優れているという話ではありません。
実際に導いてみる
日干が「戊」(土の陽)の人を例に、10個すべてを導いてみます。
| 相手の干 | 五行・陰陽 | 戊から見た関係 | 通変星 |
|---|---|---|---|
| 甲 | 木の陽 | 相手が自分を剋す | 偏官 |
| 乙 | 木の陰 | 相手が自分を剋す | 正官 |
| 丙 | 火の陽 | 相手が自分を生む | 偏印 |
| 丁 | 火の陰 | 相手が自分を生む | 印綬 |
| 戊 | 土の陽 | 同じ五行 | 比肩 |
| 己 | 土の陰 | 同じ五行 | 劫財 |
| 庚 | 金の陽 | 自分が生む | 食神 |
| 辛 | 金の陰 | 自分が生む | 傷官 |
| 壬 | 水の陽 | 自分が剋す | 偏財 |
| 癸 | 水の陰 | 自分が剋す | 正財 |
① 日干の五行と陰陽を確認する(戊=土の陽)→ ② 相手の干の五行と陰陽を確認する(壬=水の陽)→ ③ 五行の関係を見る(土剋水なので、自分が剋す=財)→ ④ 陰陽が同じか違うか(どちらも陽なので同じ=偏)→ ⑤ 偏財。
慣れると数秒でできます。他人の鑑定書を見るときも、この手順で検算できます。
10星の名前は、漢字を訳すと意味が分かる
| 星 | 読み | 字の意味 | なぜその意味になるか |
|---|---|---|---|
| 比肩 | ひけん | 肩を比べる | 自分と対等に肩を並べる存在、という意味。だから自立やマイペースをあらわします。 |
| 劫財 | ごうざい | 財を劫(おびや)かす | 同じ財を取り合う関係。競争にも協力にもなるので、人を巻き込む力として出ます。 |
| 食神 | しょくじん | 食を司る神 | 衣食に困らないという意味。のびのびと楽しむ気持ちをあらわします。 |
| 傷官 | しょうかん | 官(役職)を傷つける | 既存の枠や肩書きに収まらない、という意味。鋭い感性や批評眼として出ます。 |
| 偏財 | へんざい | かたよった財 | ここでの「偏」は悪い意味ではなく「動く・流れる」ということ。人脈や回転する財をあらわします。 |
| 正財 | せいざい | まっすぐな財 | 毎月の給与のように、決まって入ってくる財。堅実さや信用をあらわします。 |
| 偏官 | へんかん | かたよった官 | 「七殺(しちさつ)」とも呼ばれます。規格外の力、勝負に出る力です。 |
| 正官 | せいかん | まっすぐな官 | 正規の役職という意味。責任感や品格をあらわします。 |
| 偏印 | へんいん | かたよった印 | 「倒食(とうしょく)」とも呼ばれます。人と違う角度からの発想や、専門性です。 |
| 印綬 | いんじゅ | 印章をさげる組みひも | 官職の証を身につけること。学びや資格、引き立てをあらわします。 |
10星それぞれの性格と、出すぎたときの顔
比肩(ひけん)— 自立・マイペース
自分の足で立つ星。人に合わせるより、自分のリズムで進むときに力が出ます。頑固に見られがちですが、それは芯があるということ。
- 良い出方:自分の判断で動き、まわりに流されず筋を通せる。
- 強く出すぎると:人の意見を受け取らなくなり、孤立しやすくなる。
- 活かし方:決めることと相談することを、あらかじめ分けておく。
劫財(ごうざい)— 社交・押しの強さ
人を巻き込む力のある星。愛想よく振る舞いながら、要所ではしっかり主張できます。仲間との共同作業で真価が出ます。
- 良い出方:人を巻き込み、協力関係をつくれる。
- 強く出すぎると:競争心や自己主張が先に出て、主導権の取り合いになる。
- 活かし方:役割と裁量をはっきりさせてから動く。
食神(しょくじん)— 楽しむ・おおらか
衣食住に恵まれる、のびのびとした星。好きなことを追いかけているときがいちばん運が回ります。焦らないことが最大の武器。
- 良い出方:好きなことを形にし、場をなごませる。
- 強く出すぎると:楽なほうへ流れ、締め切りや詰めが甘くなる。
- 活かし方:締めの日付だけは他人と共有しておく。
傷官(しょうかん)— 感性・鋭さ
細部に気づく感性の星。美意識や技術で評価されます。言葉がきつくなりやすいので、そこだけ意識するとぐっと生きやすくなります。
- 良い出方:細部に気づき、質を上げられる。
- 強く出すぎると:言葉が鋭くなり、相手の粗さが許せなくなる。
- 活かし方:批評は仕事に向け、人に向けないと決めておく。
偏財(へんざい)— 人脈・回転
お金も人も「動かす」ことで増える星。じっと貯めるより、使って循環させるほうが縁が広がります。サービス精神が財産。
- 良い出方:人とお金を動かし、縁を広げられる。
- 強く出すぎると:手を広げすぎて、どれも中途半端になる。
- 活かし方:同時に走らせる本数に上限を決める。
正財(せいざい)— 堅実・信用
こつこつ積み上げて信用を得る星。派手さより誠実さで勝ちます。家庭やパートナーとの関係が運の土台になります。
- 良い出方:こつこつ積み上げ、信用を得られる。
- 強く出すぎると:守りに入りすぎて、機会を逃す。
- 活かし方:小さく試す枠を、あらかじめ予算に入れておく。
偏官(へんかん)— 行動・度胸
勝負どころで動ける星。プレッシャーがかかるほど強くなります。ただし無理を溜め込みやすいので、休む勇気もセットで。
- 良い出方:勝負どころで踏み込み、成果を取りにいける。
- 強く出すぎると:無理を溜め込み、周囲にも強く当たる。
- 活かし方:走る期間と休む期間を、先に区切っておく。
正官(せいかん)— 責任・品格
まじめさと責任感で信頼される星。ルールのある場所で力を発揮します。抱え込みすぎず、人に頼るのを覚えると格段に楽になります。
- 良い出方:責任を引き受け、信頼される。
- 強く出すぎると:正しさを求めすぎて、自分も他人も窮屈になる。
- 活かし方:任せられる範囲を決め、人に渡す練習をする。
偏印(へんいん)— 独創・ひらめき
人と違う角度から発想する星。専門性やニッチな分野で強みが出ます。飽きっぽさは「切り替えの早さ」と読み替えて。
- 良い出方:人と違う角度から発想し、専門性で抜ける。
- 強く出すぎると:興味が移り、続ける前に次へ行ってしまう。
- 活かし方:深めるテーマを1つだけ固定する。
印綬(いんじゅ)— 知性・学び
学びと知識が身を助ける星。まわりから守られ、引き上げられる縁があります。インプットを続けている限り運は途切れません。
- 良い出方:学びを積み、引き上げてくれる縁に恵まれる。
- 強く出すぎると:準備ばかりが長くなり、始めどきを逃す。
- 活かし方:学んだことを出す場を、先に決めておく。
どこに出るかで意味が変わる
同じ星でも、どの柱に出ているかで読みかたが変わります。柱の役割(第1章)と掛け合わせてください。
| 出る場所 | 読みかた |
|---|---|
| 月柱の天干 | 仕事や社会で、表に出る力 |
| 年柱の天干 | 外から見た印象、目上との関わりかた |
| 日柱の蔵干 | いちばん奥の芯。本人の実感に近い |
| 月柱の蔵干 | 仕事ぶりの内側で働いているもの |
通変星は日干から見た関係です。日干そのものは基準なので、比べる相手がいません。だから鑑定書の日柱の通変星は「—」になります。データが欠けているのではありません。
表と内側のズレを読む
- 月柱の天干「己」→ 劫財(対外的に出る顔)
- 月柱の蔵干「辛」→ 傷官(仕事ぶりの内側)
- 日柱の蔵干「癸」→ 正財(いちばん奥の芯)
この人は、外向きには劫財として人を巻き込みながら、その内側では傷官が細部を見ています。そして芯にあるのは正財。人からの印象と自分の実感がずれるとしたら、この差から来ています。
この章のまとめ
- 通変星は五行の関係5通り × 陰陽2通りで導ける。暗記は不要
- 偏=陰陽が同じ/正=陰陽が違う。良し悪しではない
- 日柱の天干に星がつかないのは、日干が基準そのものだから
- 天干の星=外向きの顔、蔵干の星=内側の反応
- 同じ星でも、出る柱によって読みかたが変わる
確認問題
0 / 4 問
問1日干が「戊」(土の陽)の人にとって、「壬」(水の陽)は何星?
問2「偏」と「正」の違いは?
問3日柱の通変星が「—」になるのはなぜ?
問4「傷官」という名前の意味は?