第 11 章
他人の鑑定書を読む
知識をつなげて、初見の命式を上から順に読み解く手順をやります。
この章を読み終えると
- 初見の鑑定書を、決まった順番で読み解ける
- 矛盾する材料が出たときの優先順位を持てる
- 言い切ってよいことと、そうでないことを区別できる
最終章です。ここまでで材料はそろいました。あとは読む順番を身につけるだけです。初見の鑑定書を渡されたときに、どこから手をつけるか。
読む順番は6ステップ
- 日干を見つける — すべての基準。ここを外すと全部ずれる
- 月支を見る — 生まれた季節。守護神と身の強さに効く
- 月柱の星を見る — 社会でどう出るか。いちばん現実に効く柱
- 五行の数を数える — 偏りと欠け
- 天中殺を出す — 日柱の番号から
- いまの大運を探す — 年齢から行を特定する
この順番には理由があります。1〜2が土台、3〜4がその人の性質、5〜6が時間。土台を確かめずに性質から読むと、途中で必ず辻褄が合わなくなります。
実際にやってみる
ここまで使ってきた例とは別の人で練習します。1979年3月22日生まれ・女性。以下の命式が出ているとします。
| 柱 | 日柱 | 月柱 | 年柱 |
|---|---|---|---|
| 干支 | 戊子 | 丁卯 | 己未 |
| 蔵干 | 癸 | 乙 | 己 |
| 通変星 | — | 印綬 | 劫財 |
| 蔵干通変星 | 正財 | 正官 | 劫財 |
| 十二運星 | 胎 | 沐浴 | 衰 |
ステップ1 ── 日干
日柱の上の字は戊。ここからすべてが出ています。日柱の通変星が「—」なのは、基準そのものだからです(第6章)。
ステップ2 ── 月支と季節
月支は卯(3月ごろ)。この季節に生まれた戊にとって必要な気を調候用神表で引くと、守護神は丙・甲・癸。三柱の天干にあるかを見ると、天干には出ていません。
ステップ3 ── 月柱の星
月柱の天干は印綬。学びと知識が身を助ける星。まわりから守られ、引き上げられる縁があります。インプットを続けている限り運は途切れません。
その内側(月柱の蔵干)は正官。表と内で星が違うので、人から見た印象と本人の実感にズレがあるタイプだと読めます。芯にあるのは日柱の蔵干から出る正財です。
ステップ4 ── 五行の数
天干と地支の6文字を数えると、木1・火1・土3・金0・水1。「金」が0個です。いちばん多いのは土。
ここで注意。これは表面の6文字だけの集計で、蔵干も季節の強弱も入っていません。「五行がそろっている」ことと「バランスが取れている」ことは別なので、断定しすぎないようにします。
ステップ5 ── 天中殺
日柱は戊子で25番。10個ずつの組で余る2支を見ると午未、つまり午未天中殺。年柱からも出すと子丑で、日柱とは別の組み合わせです。
ステップ6 ── いまの大運
年柱の天干は己。女性なので順行です。立運は約5歳。47歳のいまは45〜54才の行で、干支は壬申、通変星は偏財、十二運星は病。
つまりこの10年は「偏財が問われる期間」で、勢いは繊細な感受性。人の気持ちを汲むのが得意。
6ステップをまとめた読み
戊を軸に、3月ごろに生まれた人。社会に出る顔は印綬で、その内側は正官、芯は正財。五行では金が欠けていて、そこを外から補うのが課題。午未天中殺なので、12年のうち2年は結果より仕込みに回る時期が来る。いまは偏財の大運のさなか。
——ここまでが、暦の計算から言える範囲です。この先「だから転職すべき」といった話をするなら、それは解釈であって計算ではない、と区別してください。
矛盾する材料が出たとき
読んでいると、材料どうしが食い違うことがあります。優先順位を決めておきます。
| 食い違い | どう扱うか |
|---|---|
| 天干の星と蔵干の星が逆の性質 | 矛盾ではない。外向きと内側の差として両方読む |
| 命式は静かなのに大運は勢いのある星 | 2階建てなので別のことを言っている。「もともと×いま」で重ねる |
| 基本天中殺と年柱空亡が別 | 基本天中殺(日柱)を優先 |
| 五行がそろっているのに守護神が要る | 別の見方。数と働きは違う(あっても効いていないことがある) |
他人の鑑定書との突き合わせかた
他所で出された鑑定書を見て、自分の計算と合わないとき。まず疑うべきは方式の違いです。確認する順に並べます。
- 三柱か四柱か — 時柱があると五行の数も星の数も変わる
- 年柱の切り替え — 立春基準か、1月1日基準か(後者は簡易版)
- 月柱の切り替え — 節入り基準か、暦月基準か
- 蔵干表 — 日数の区切りかたに流派差がある(第5章)
- 用神の方式 — 調候か扶抑か(第8章)
- 大運の順逆 — 性別を考慮しているか(第10章)
- 十二運の配点 — 点を使うか、使うならどの配点か(第7章)
この7点を確認すれば、たいていの食い違いは説明がつきます。「どちらかが間違い」ではなく「どの方式か」で考える癖をつけると、他人の鑑定書がぐっと読みやすくなります。
言い切ってよいこと、よくないこと
| 例 | |
|---|---|
| 事実として言える | 「日干は◯」「月柱の通変星は◯」「天中殺は◯」——暦の計算から出るもの |
| 解釈として言える | 「◯の傾向が出やすい」「◯の場面で力が出やすい」——流派差があると添えて |
| 言うべきでない | 職業・病気・寿命・特定の出来事の断定。人生の重大な判断を占いだけで決めさせること |
命式はその人を説明するための道具であって、縛るためのものではありません。「あなたは◯だからこうなる」ではなく、「◯が出やすい配置だから、こう使うと楽になるかも」。この距離感を保てるかどうかが、読める人と読めるだけの人の差になります。
この教科書のまとめ
- 読む順番は日干 → 月支 → 月柱の星 → 五行 → 天中殺 → 大運
- 矛盾に見えるものの多くは、見ている層が違うだけ
- 他人の鑑定書と合わないときは、7つの方式の違いを確認する
- 暦の計算から出る部分は事実、その先は解釈。境目をはっきりさせる
ここまでお疲れさまでした。あとは数をこなすだけです。自分の鑑定書、家族の鑑定書、有名人の生年月日。3人ぶんも読めば、手が覚えます。
確認問題
0 / 4 問
問1初見の鑑定書を読むとき、いちばん最初に確かめるべきなのは?
問2他人の鑑定書と自分の計算結果が食い違ったとき、まず疑うべきなのは?
問3命式と大運が違うことを示しているとき、どう読む?
問4鑑定書から「言い切ってよいこと」はどれ?