第 12 章
流派の違いと、その付き合いかた
同じ生年月日でも、流派が違えば答えが変わります。何がどう違うのか、そしてそれをどう扱えばいいのか。
この章を読み終えると
- 主な流派の名前と、大まかな立ち位置が言える
- 流派によって何が変わり、何は変わらないのかを区別できる
- 鑑定が食い違ったときに、どちらが嘘かを争わずに済む
ここまで11章、ひとつの読みかたで通してきました。最後に、その読みかたが数ある流派のひとつでしかないことを書いておきます。これを知らないまま他所の鑑定を受けると、「言われたことが違う。どちらかが嘘だ」となってしまうからです。
流派があるとは、どういうことか
四柱推命は、生年月日を干支に置きかえるところまでは誰がやっても同じ答えになります。暦の計算だからです。第4章でやったとおり、立春と節入りで区切れば、年柱も月柱も日柱も一意に決まります。
分かれるのはそこから先です。出てきた干支から何を読むか、どの要素を重く見るか、そもそもどの要素を使うか。ここに決まりはなく、人が決めてきました。その決めかたのまとまりが「流派」です。
流派の違いは「どちらが正しい暦か」ではなく「同じ材料で何を作るか」の違いです。同じ小麦粉からパンを焼く人とうどんを打つ人がいる、というくらいの距離があります。
日本でよく名前を聞く流派
以下は、日本語で調べたときによく出てくるものです。ここに書いた特徴は「そう言われることが多い」という程度のもので、断定ではありません。理由はこの章の最後に書きます。
泰山流(たいざんりゅう)
阿部泰山。京都の人で、関西で広まりました。
中国の古典(『窮通宝鑑』『滴天髄』など)を研究して体系化したと言われます。日本で四柱推命が広まった大きな流れのひとつです。
同じ「泰山流」でも、十二運や空亡を使うと書かれた資料と、使わないと書かれた資料の両方があります。名前が同じでも中身が分かれているようです。
透派(とうは)
台湾の張耀文の研究を、佐藤六龍が日本に紹介する形で広まりました。
日干の強さを数量的に見る手法が知られています。
高木乗流(たかぎじょうりゅう)
関東で広まり、「西の泰山流、東の高木乗流」と並べて言われます。
大運の立運の取りかたに独特の数えかたがあるとされます。
中国式(子平・八字)
中国・台湾で行われている本来の形。日本では「八字(バーズー)」の名でも紹介されます。
格局と用神を中心に読み、十二運や空亡は使わないことが多いと言われます。
日本で広まったものと区別する意味で「中国式」と呼ばれます。
何が違うのか(このサイトと並べて)
流派どうしを比べた表は、作ろうとすると必ず不正確になります。同じ流派の中でも人によって違うからです。かわりに、このサイトが何を使っているかを軸にして並べます。ここだけは、迷いなく書けます。
- 時柱(生まれた時刻)
このサイト使わない
流派による違いほとんどの流派が使う。四柱推命の「四柱」は年・月・日・時のこと
- 十二運星
このサイト使う
流派による違い日本で広まった流派は使うことが多い。中国の子平では使わないほうが主流
- 天中殺・空亡
このサイト使う
流派による違い同上。使わない流派では、そもそも話題に出ない
- 通変星
このサイト使う
流派による違いどの流派も使う。呼び名が「十大主星」など変わることはある
- 蔵干
このサイト使う(節入りからの日数で決める)
流派による違い日数の区切りかたが流派で違う。同じ日でも別の蔵干になることがある
- 格局(かっきょく)
このサイト使わない
流派による違い中心に据える流派と、補助にとどめる流派がある
- 用神(ようじん)
このサイト調候用神だけを「守護神」として出す
流派による違い何を用神とするかが流派の主な分かれ目。ここが違うと結論が変わる
- 大運の立運
このサイト節入りまでの日数÷3
流派による違い基本は同じだが、その先の数えかたが違う流派がある(高木乗流など)
なぜこのサイトは時柱を使わないのか
生まれた時刻を正確に覚えている人が多くないからです。母子手帳を見れば分かりますが、手元にない人のほうが多い。あやふやな時刻で出した四柱は、三柱より不正確です。
時柱が無いぶん、分かることは減ります。子どもや晩年をあらわす柱が欠けるので、そこは読めません。読めないものを読めるふりをしないために、外してあります。
調べると、説明が食い違います
この章を書くために資料を当たって、はっきりしたことがあります。同じ流派の説明が、資料によって食い違います。
たとえば泰山流について、「十二運や空亡を使う」と書いてあるものと、「使わない」と書いてあるものの両方が見つかります。どちらかが嘘をついているというより、同じ名前の下で、教える人によって中身が変わっているのだと思われます。
「流派名」は、中身を保証しません。「泰山流です」と言われても、その人が何を使って読むかは、聞いてみないと分かりません。流派の名前は住所のようなもので、家の中がどうなっているかまでは教えてくれません。
では、流派をどう気にすればいいのか
3つだけ、覚えておけば足ります。
- 命式そのものは、どこで見ても同じ。 年・月・日の干支は暦の計算なので、流派で変わりません。もし干支が違ったら、それは流派ではなく計算違いか、生年月日の取り違えです。そこは疑ってよいところです。
- 読みが違ったとき、どちらかが嘘とは限らない。 使っている材料が違えば、結論も違います。天中殺を使わない流派の人は、天中殺の話をしません。それは「無視している」のではなく、その体系に無いだけです。
- 大事なのは、ひとつの体系の中で筋が通っていること。 いろいろな流派の言葉を、都合よくつまみ食いすると、必ずどこかで矛盾します。ひとりの鑑定士に見てもらうなら、その人の体系ごと受けとる。比べたいなら、比べていることを自覚したうえで並べる。それだけで、ずいぶん見通しがよくなります。
ここまで読んできた読みかたが、唯一の正解ではありません。ただし、何を使って何を使っていないかは、全部書いてあります。それが分かっていれば、他所の鑑定を受けたときにも「これは自分の知っている体系と、ここが違うな」と見分けられます。
当たる・当たらないを競うより、自分が何を見ているのかを分かっていることのほうが、ずっと役に立ちます。
確認問題
0 / 3 問
問1ふたりの鑑定士に見てもらったら、年柱の干支が違っていました。まず疑うべきは?
問2天中殺の話をいっさいしない鑑定士がいました。どう考えるのが妥当?
問3「泰山流です」と言われました。そこから確実に分かることは?